- 公務員の仕事は楽だ
- 毎日定時で帰れるなんて公務員くらいだろ
- 安定してるし仕事も楽だし、公務員最強じゃね?
公務員といえば定時帰りが当たり前、仕事が楽というイメージが強いかもしれません。
しかしそれはひと昔前の話で、現在の地方公務員は激務そのもの。
- 本庁勤務
- 花形部署
- 一般人と関わりが多い部署
上記のような部署に配属されている人は、体調を崩さないか心配になるレベルで激務をこなしています。
ぼくが公務員を志望した正直な理由は『安定しているから』『仕事が楽そうだから』だったのですが…
公務員の仕事に『楽(ラク)』を求めると、ぼくのように痛い目にあいます。
当記事では、2年間の公務員生活で経験したことを踏まえて分かった公務員の実情をぶっちゃけます。
- 公務員を志望している大学生・予備校生
- 公務員へ転職を考えている民間勤めの20代、30代
上記に当てはまる方はぜひチェックしてみてください!
公務員の仕事は楽ってマジ?2年間の公務員生活で分かったこと

2年間の公務員生活で感じたことは次の3つ。
- 業務量が膨大で時間内に仕事が終わらない
- 優秀な人ほど忙しい部署へ異動する傾向
- 本庁は忙しく出先機関は暇な傾向
公務員の仕事は覚えれば誰でもできます。
業務の本質はどの部署でも変わらず、肝をおさえればどの部署へ異動してもうまくやっていけるだろうなということ。
しかし、公務員は決して楽な職業とは言えません。
ぼくの体験談をふまえながら、それぞ詳しく説明します。
業務量が膨大で時間内に仕事が終わらない
公務員は一人ひとりが担当する業務量が膨大なので、時間内に仕事が終わりません。
公務員の仕事自体は覚えれば応用が利くことがほとんどなので、決して難しいとは言えないのですが…

『ひとり親方状態』なので、お互いにカバーしきれないことが多いんですね。
1年目と2年目で担当した業務はほぼ違うもの。
1年目の業務は新しく異動してきた人に引き継いだ。
2年目、3年目の人は、それぞれ1年目、2年目の人に業務を引き継ぐ形に。
公務員の引き継ぎって、1回で理解できないことがほとんどだと思います。
分からないことがあるたび、前年度の担当者に聞くことが多いんです。
前年度の担当者は、今年度新しい業務を担当しているので、なかなか話しかけづらい…
ましてや他部署へ異動していたら、質問のたびに電話をかけなければいけず、お互い時間ばかり浪費していしまいます。
公務員の仕事は止まることがない(止めることができない)ので、完ぺきに引き継ぎが終わってなくても業務は走り出します。
- 新しく担当する業務も覚えなきゃいけない
- 前年度の業務も随時引き継いでいかなきゃいけない
特に4月はてんやわんやしますね。
仕事自体は難しくないので、楽といえば楽かもしれませんが…
やらなければいけないことが多すぎるのが現状。
一人が担当する『業務量の多さ』という点でみると、公務員の仕事は楽とは言えません。
優秀な人ほど忙しい部署へ異動する傾向
全体的な傾向として、優秀な人ほど忙しい部署や花形部署に異動しています。
ぼくの上司や年の近い先輩の経歴です。
- 新採で教育委員会 → 人事課
- 5年間財政課 → 教育委員会
- 新採から冠(かんむり)主査までずっと本庁
彼らに共通しているのは、仕事がデキるということ(上から目線ですみません)。
仕事が早いのはもちろん、公務員のことならなんでもござれ。

どんな質問をしてもよどみなく答えてくれ、当時新採のぼくでも分かるよう丁寧に教えてくれました。
そして周りからの人望がとても厚い
1年や2年くらい出先機関に行くこともあるようですが、基本的に優秀な人たちは忙しい部署や花形部署を行ったり来たりしています。
仕事のやりがい、公務員の楽しさは感じるのでしょうが…
客観的にみると、決して楽な公務員人生とは言えないですね。

本庁は忙しく、出先機関は暇な傾向
本庁は忙しく、出先機関は早い時間に帰れるという傾向があります。
出先機関に配属されたぼくの同期は、ほぼ毎日定時で帰っていると言っていました。
さらに、総務省が行った『地方公務員の時間外勤務に関する実態調査』でも、出先機関は残業時間がそれほど多い職員がいないという結果が出ています(データはH27年度)。

本庁勤務で60時間を超えて残業をする人の数は
- 都道府県:49,551人
- 政令指定都市:30,520人
- 県庁所在地:15,326人
一方で出先機関は
- 都道府県:13,522人
- 政令指定都市:18,057人
- 県庁所在地:4,960人
総務省の調査で注目したいのは、調査対象の延べ人数です。
- 本庁:1,778,199人
- 出先機関:2,992,455人
延べ人数なので確かなことは分かりませんが、出先機関の方が調査対象人数が多いのに残業している人が少ないということ。
調査結果はあくまで参考ですが、全国的にみて『本庁は忙しく、出先機関は比較的早い時間に帰れる』という傾向にあります。
出先機関に配属されている人にとっては、『公務員の仕事は楽』といえるかもしれません。
- 公務員の仕事自体は楽
- 職業としての公務員はかなり激務
- 基本的に本庁は忙しい

公務員の仕事が楽と言われる理由

公務員が楽なのはひと昔前の話。
では、ひと昔前はなぜ楽だったのかというと、ほぼ毎日定時で帰れていたから。
課長、課長補佐の人から聞いた話だと、昔は今ほど忙しくなかったとのこと。

週末は課内、係内のメンバーで1泊2日の旅行に行くような時代だったそうですよ。
現在の公務員は、庁内全体がピリピリしているが、ひと昔前はもっと和やかな雰囲気だったのだろう
ぼくが在籍していた大学の教授に、公務員になることを告げたときは
うらやましいなあ。
公務員は毎日定時で帰れるし、楽でいいぞぉ。
と言われた覚えがあります。
それほど、上の世代にとっては『公務員は楽』という考えが定着しているということ。
なかなか時代の変化に追いつけず、昔のイメージをそのまま現代にも当てはめている感じです。
昔のイメージが今も残っている最たる例は、『公務員は安定、終身雇用が当たり前』ですね。

公務員で楽な部署は?

公務員で楽な部署はあるのかどうかと聞かれたら…
堂々と『楽な部署はある!』とは言えません。
まず何を持ってラクと捉えるのかにもよります。
- 業務内容からみると→楽な部署もある
- 業務量でみると→楽じゃない
- 勤務時間でみると→楽じゃない
- 本庁か出先機関でくらべると→出先機関が楽
- 公務員という職業でみると→楽じゃない
業務内容は難しくなく、事務作業が多いので楽といえば楽です。
ただ、業務量が多いので終わりが見えないのはしんどいですね。
出先機関は本庁にくらべて楽とは言いましたが、一般人と対面で関わる部署なら楽じゃありません。
また、人が少なく閉鎖的な環境であれば、人間関係に悩みを抱えても逃げ場なくなってしまいます。
『公務員は税金で暮らしてるんだから』という世間の目が、年々厳しくなっているように感じます。
何かにつけてクレームを入れてきたりする人もいますね。
ぼくは教育委員会所属したが、何回かクレームの電話を受けたことがあります。
電話口で怒鳴られたこともあります。
近隣住民向けに行った事業内容説明会でも、重度のクレーマーに名指しで詰め寄られたこともあります。
たしかに業務内容は難しくありませんでしたが、一般人との関わり、世間の目という観点からみると、公務員は楽じゃありませんね。
『楽な部署』というより、『楽な時期』はあるかもしれません。
特にお盆期間は世間的に休みですし、上の人たちはほとんど夏季休暇を取ります。
ふだんうるさい上司もいないので、お盆は楽な時期ですよ。
ただ、公務員は『基本的にどこの部署も忙しい』と思っていてください。
どの部署でも、何か必ずしんどいことがあります。
楽を求めて公務員になれば、理想と現実のギャップに苦しむでしょう。
『公務員は大変』という気持ちでいた方が、あとあと楽かもしれません。

公務員の仕事は楽ってマジ?2年間の公務員生活で分かったこと
この記事では、公務員の仕事は楽ってマジ?2年間の公務員生活で分かったことについて書きました。
公務員の仕事は、担当する業務量が多いので時間内に仕事が終わることなんてありません。
そもそも民間のように納期やノルマがないので、仕事に一区切りつけるのが難しい
ただ、業務内容的には簡単なので楽といえば楽ですが、早く帰れないのは辛いですね。
また、優秀な人ほど激務な部署に配属される傾向がありますから、定年まで働くのであれば決して楽な公務員人生とは言えそうにありません。
ただ、出先機関は本庁勤務にくらべて残業時間が少ないという総務省の調査結果が出ています。
出先機関配属なら、早く帰れるという点で楽かも
公務員という職業は、世間の風当たりも厳しく大変ですし、背負っている責任がとんでもなく重大。
また、閉鎖的な環境がもたらす人間関係やクレーム対応など、見えないところでストレスを抱えているのです。
『公務員の仕事は楽』というイメージが強いかもしれませんが、それはひと昔前の話。
現在の実情は真逆です。
結局部署によりけりになってしまいますが、トータルでみて公務員は楽な仕事とは言い切れませんね。
