2019年5月、トヨタ自動車社長の『終身雇用は限界』発言が話題になりました。
トヨタの豊田章男社長が、終身雇用の継続は難しいとの認識を示した
「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」とコメント
終身雇用を巡っては、経団連の中西宏明会長も「もう守れない」と語っている
さらに経団連の中西会長も、終身雇用は難しいとの発言をされています。
では、公務員にはどれほど影響があるのでしょうか。
『企業にインセンティブがない』というのは民間企業の話ですよね。
税収や借金で成り立っている自治体は関係ないのではないか、と思いわれるかもしれません。
そこで当記事では、公務員の未来はどのように変化していくのか、10年で激変する!「公務員の未来」予想図をもとに考えていきましょう。
- 20代から30代の若手、中堅公務員
- 公務員を目指している学生・予備校生
- 民間から公務員へ転職を考えている人
上記に当てはまる方は、ぜひチェックしてみてください!
“公務員にも民間にも関心がある学生が、公務員試験対策に膨大な時間がかかるという理由で公務員をあきらめている現状はもったいない”
という理由から、現行の公務員試験制度を廃止し、SPI3を使った面接重視の採用試験を行っています。
現役市長が考える『激変する公務員の未来』に備えるために今できることは何か。
これからの公務員の在り方を説いた革新的な1冊です。
なぜ終身雇用は限界を迎えている?

大きな理由は、バブル崩壊後の日本経済を立て直せなかったから。
平成元年、世界時価総額ランキング上位50社の中に、日本企業は32社もランクインしていました。
- 日経平均株価も上昇を続けた
- 東京だけでなく地方でも地価が高騰していた
しかしバブルが崩壊すると、株価・地価・住宅価格は下落し、企業の業績悪化により不良債権も拡大しました。
平成31年における世界時価総額ランキングでは、上位50社の中に日本の企業はトヨタ自動車1社のみ。
平成の30年間で、日本経済は国内だけでなく国際的な競争力も失ってしまったんですね。
トヨタ社長は、「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」とコメント。
インセンティブとは、モチベーションを引き出すための外的な刺激(お金・報酬など)のことなのですが…
インセンティブがなければ、人を雇い続けることができません。
世界時価総額ランキングトップ50社に唯一ランクインしているトヨタの社長が『インセンティブがない』
と発言したわけですから、本当にヤバいんだな、無理なんだな、という危機感が伝わってきます。
公務員の終身雇用も崩壊する?

民間企業ではインセンティブがないから終身雇用が限界という話でした。
一方で公務員は、インセンティブは関係ありませんよね。
では公務員の終身雇用は安定なのかというと、決して安定とは言えない状況になってきました。
その理由は次のとおり。
- 人口減少に伴う財政難
- AI・IT技術の台頭による業務の効率化、削減
それぞれみていきましょう。
人口減少に伴う財政難の懸念
日本の人口減少は歯止めがかかりません。
2008年をピークに日本の総人口は減少に転じています。
また、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば、2050年には日本の総人口は1億人を下回ることが予測されているとのこと。
このまま人口減少が続けば
- 少子高齢化がますます進む
- 生産年齢人口の減少
- 労働力不足
- 社会保障制度の給付と負担のバランス崩壊
このような事態が日本全体で発生するでしょう。
その結果、自治体の税収も少なくなり財政難に陥る可能性がある
財政難になれば、職員一人ひとりの給与が削減されるかもしれません。
給与がカットされれば、生活も苦しくなり…将来に不安を抱えることになりそうです。

AI・IT技術の台頭による業務の効率化、削減
AIやIT技術が発達すれば、今までやっていた仕事を自分たちの手でやる必要がなくなります。
その結果、やることがなくなるので人が余ってしまうのです。
働いていて『何でこんなことまでやらなきゃいけないんだ』と、感じる業務がありますよね。
そういった、特に単純な事務作業なんかは、AIやIT技術がパパっと終わらせてくれる時代が必ずきます。
急激な社会変化や専門的なことに対応するため、柔軟な発想が必要になる
『世間知らず』と言われる公務員ですが、社会の波に乗らなければいけません。
これからますます時代の変化が激しくなるにあたって、柔軟な発想や若い感性が必要になってくるのです。
つまり、前年踏襲や年功序列といった負の遺産が崩壊せざるを得ないということ。
頭を使わず『とりあえず前年と同じことをやっておけばOK』という時代はもう終わり。
時代の変化についていけなければ、いくら公務員とはいえ組織の邪魔者扱いされてしまうのです。
- 人口減少に伴う財政難→大幅な給料カット→生活難
- AI・IT技術の台頭→単純な事務作業は不要→急激な社会変化や専門的なことへの対応→柔軟な発想や感性がなければ邪魔者扱い
もちろん、各自治体によって状況は違いますし、地方公務員と国家公務員との違いもあります。
そもそも、地方公務員と国家公務員では役割も業務内容も違うので、一概に『公務員の終身雇用は安定ではない』とは言い切れません。
しかし、公務員の終身雇用制度は確実に崩壊を始めています。
公務員=安定というのはひと昔前の話

公務員はこれから先どうなっていくのか

10年で激変する!「公務員の未来」予想図に書いてある通り、大きな変化を遂げることは間違いないでしょう。
いくら公務員が変化を嫌う職業だとはいえ、社会の変化に対応しないわけにはいきません。
現に、安倍晋三前首相から菅義偉首相に代わってからハンコ主義が解消されつつある。
デジタル化も進んでいますし、より専門的な部署を立ち上げている自治体もあるようです。
これから先、終身雇用が崩壊されたら公務員もリストラされる、なんてことにはならないと思いますが…
今まで『公務員だから』許されていたお役所仕事は、時代の変化に伴い少しずつ解体されると思います。
公務員の未来がどうなるか分からないからこそ、今のうちから手を打っておく必要があるのです。
終身雇用の崩壊に備えるため今からやっておくこと

公務員試験勉強、大変でしたよね。
広く浅く、かなり多くの科目を勉強しました。
しかし、あれだけ長い期間かけて勉強したにもかかわらず、法律や経済の知識がどれほど身についているでしょうか。
一見すると、公務員は法律に詳しいように思われがちですが、詳細なことまで知っている公務員はどれほどいるでしょうか。
また、公務員は民間企業のように特別なスキルや知識、資格が必要ありませんよね。
もし終身雇用が崩壊し、公務員として生きていけなくなったら。
丸裸の状態で激動の社会に放り出されることになります。
トヨタも終身雇用の継続は難しいと。
サラリーマンであっても一つの会社に集中投資するんじゃなく、スキルを伸ばして自分で生き残れるように備えておいた方が良い時代やなぁ^_^https://t.co/9HJkfDHnqY
— 両@リベ大 学長 (@freelife_blog) May 14, 2019
公務員も例外ではなく、一人で生きていけるようなスキルや知識を身につけておく必要があると思います。
具体的には
- プログラミングやWebマーケティングなどIT系のスキル
- ファイナンシャルプランナーなどお金に関する知識
どちらも独学で学ぶことができるうえに、働き口がたくさんあります。
突き詰めれば個人で起業することができるかもしれません。
IT系のスキルやお金の知識は、持っていて困ることはない
特にお金について、公務員は関心が低いように思えます。
公務員が将来もらえる年金も減ったわけですから、今のうちから行動を起こす必要があるのです。
https://loco14blog.com/komuin-nenkin/
まとめ
この記事では、公務員の終身雇用は安定なのか【トヨタ社長の発言でザワつく】について書きました。
- 公務員の終身雇用は安定ではない
- 人口減少に伴う財政難がもたらす生活難
- AIやIT技術の台頭により、やらなくていいことが増える
- 急激な社会変化や専門的なことに対応できなければ邪魔者扱い
- 不安定な未来に備えて、一人でも生きていけるような知識を身につけるべき
今回の場合は、終身雇用は限界だと発言されたのはトヨタの社長であり民間企業の話です。
しかし、『公務員は大丈夫、公務員は安定』という考えを捨て切らなければ、平成の30年間で日本経済が経験したことを繰り返すことになります。
公務員の終身雇用は安定ではありません。
未来は必ず変わります。
10年で激変する!「公務員の未来」予想図の著者は、奈良県生駒市市長の小紫 雅史さん。
生駒市では
“公務員にも民間にも関心がある学生が、公務員試験対策に膨大な時間がかかるという理由で公務員をあきらめている現状はもったいない”
という理由から、現行の公務員試験制度を廃止。
SPI3を使った面接重視の採用試験を行っています。
これからの公務員の在り方を説いた、革新的な1冊です。